敵対的買収と友好的買収の違いとは?

M&Aを行なうにあたり、「敵対的買収や友好的買収」と耳にすることも多くあります。「買収」と聞くと敵対的なM&Aが中心ではないかと考えている方も多いかと思います。

しかしながら、敵対的や友好的は買収の方法を意味することとして用いられています。

これから敵対的買収と友好的買収のメリットやデメリットなどの違いや、どちらのM&Aが主流となっているかの現状についてご紹介します。

 

1. 敵対的買収と友好的買収の現状

敵対的買収とは?

敵対的買収とは、会社の経営陣との同意を得ずに買収が実施されることをいいます。

つまり、買収の対象となる会社の経営陣や親会社などから同意を得ず、株主から株式を取得することで買収が行なわれます。

金融取引法では発行済みの株式の1/3以上を買い付ける場合、通常の市場取引ではなく、TOB(Take Over Bid=株式公開買付)という方法を利用する必要があります。

TOBとは、あらかじめ買い取る期間、株数、価格を提示して市場外で買い付ける方法です。

敵対的買収では事前に通知をすることなく、TOBによる公表によって買収することを知らされることにより、買収側に対する不信感を抱きやすく、買取に対して拒否する姿勢を示すことが多くあります。

敵対的買収と同じ意味を持つ「ホスタイルテイクオーバー」とも呼ばれており、買収によるコストの削減のために選択していると考えられます。

 

友好的買収とは?

友好的買収は敵対的の反対で、事前にTOBによって株式を買い取ることが知らされている場合のことをいいます。

事前に知らされているため同意を得やすく、買収に対する不信感もなくM&Aを進めることができます。

友好的買収により買収企業は買収会社の技術や人材を、買収対象の企業は大きな会社の基盤などを得ることが期待できます。

このようなシナジー効果を得られやすい特徴があります。

友好的買収と同じ意味を持つ「フレンドリーテイクオーバー」とも呼ばれます。

 

2. 日本でのM&Aは友好的買収が多数

日本でのM&Aでは、敵対的買収ではなく友好的買収が行なわれていることが多い傾向があります。

事前に経営者と同意を得てから買取を進めるため、遺憾と思われることが少なく、話がスムーズに進みやすいためです。

かといって、経営陣との同意が得られていないM&Aでは不信感を残してしまうことが多くありますが、経営陣以外の株主や従業員にとっては友好的な場合もあります。

そのため、敵対的買収といっても全ての結果が悪くなるわけではありません。

このように、多少強引な方法であっても、結果的には良い評価につながることもあります。

しかしながら、敵対的買収は不信感を抱かれ、株主や労働組合からの賛同を得られにくいため、行なったとしても成功率が低くなってしまう傾向があります。

そのため、日本で行われることはまれで、友好的買収の件数が多い傾向があります。

 

3.メリットとデメリット

敵対的買収のデメリット

・成功率が低い

事前に知らされないため、株主や労働組合からの賛同を得られにくくなり、協力体制を構築することが難しくなってしまいます。

また、売り手から買収防衛策を講じられる場合もあり、成功確率が低くなってしまいます。

資金を持っているだけではなく、内部での協力者を得ないと結果は厳しい傾向があります。

・従業員との折り合いがつかない

敵対的買収には、売り手企業の従業員の労働環境に対してさまざまな不安を与えてしまいます。

他にも、

  • 労働環境の悪化
  • 給与や待遇の悪化
  • 外部の人間による出世への不安

このような不安を抱いてしまうために、被買収企業の従業員は不安や不満を抱き退職してしまうことになりかねません。

M&Aによって優秀な人材やノウハウを得られるメリットがあるにもかかわらず、買収の自体 が成功したとしても、敵対的買収によって不安を煽ってしまうことで人材を流出させてしまうリスクがあります。

・対象が中小企業の場合には向かない

中小企業では株式の譲渡制限を設けていることが多くあります。

そのため、譲渡株式を企業に売り渡すには対象企業の承認を必要とするため、敵対的買収には不向きであることがわかります。

 

敵対的買収のメリット

・買い手と売り手の利害関係を解消できる

買い手と売り手が敵対している場合には、利害関係を早急に解消することが可能です。

買い手と売り手が敵対同士にある場合は、敵対的買収によって子会社化することで攻防戦が泥沼化してお互いが消費してしまうことを避けることができます。

敵対同士でいるよりも、同じ方向を向いて進むことの方がいい場合もあるのです。

・組織変革を実行できる

企業が長く生き残るには組織変革が必要である場合もあります。

しかし、上層部の意見が保守的であったり時代に対応しきれていない現状だとすると、実行するまでの決断が遅くなってしまったりと、なかなか進みにくい状態がある企業もあります。

このように、長年培われてきた組織を変革することは簡単には実行できません。

しかし、敵対的買収によって売り手の経営陣を刷新でき、業績不振が経営陣の古い考えによるものであれば、早急に組織変革を実行することができ、経営が回復する可能性もあります。

 

友好的買収のデメリット

・シナジー効果が得られない場合もある

買収がゴールとなってしまうと、相乗効果であるシナジー効果が得られず、かえって経営が悪化してしまうケースも珍しくありません。

そうなると買収の結果が成功したとは言えません。

シナジー効果を得るためには、手間や時間をかけて経営統合に力を入れる必要があります。

・株主の利益が守られないケースもある

日本では株主の利益を守るための規約や規律が確立されていません。

そのため、経営陣が友好的買収で利益を得られたとしても、株主には価値が低下するリスクも考えられます。

アメリカでは既にこのようなケースが発生しており、日本でも問題となることが考えられます。

経営陣が株主の権利や利益を保護する姿勢を備えることが重要となります。

株主は出資者であり、経営に関する意思決定を下す役割があるポジションにあたります。

友好的買収では、経営の統合だけではなく株主に対する配慮も怠らないよう行なうことも必要となります。

 

友好的買収のメリット

・敵対的買収よりも成功率が高くなる

敵対的買収を実施すると、対象企業の同意を得ないため、必要な情報も得られず、買収防衛策をうたれてしまうとスムーズに実施することが難しくなってしまい、結果的に成功確率が下がってしまいます。

反対に、友好的買収であれば事前に同意を得ているため、交渉や必要な情報を得るための手続きがスムーズに進みやすくなります。

しかしながら、友好的であっても手間や時間や負がかかることを念頭に置いておきましょう。

・シナジー効果獲得の可能性が高くなる

友好的買収は対象の企業から同意を得るため反発を受けにくく、人材やノウハウの確保が成功しやすい特徴があります。

お互いが友好関係でありどちらに対しても有利な結果を築くように心がけることができるため、双方にとってのメリットを生みやすくなります。

そのため、買収が実施された後に十分なシナジー効果を得やすくなり、結果的に成功となる可能性が高くなります。

・心証悪化を防ぐことができる

友好的買収は事前に交渉を進めて同意して行われるため、心証の悪化を防ぐことができます。

敵対的買収であれば買収対象の企業だけでなく、取引先や金融機関、従業員、株主、債権者などさまざまな関係者へ悪い印象を与えてしまうリスクが生じる可能性があります。

そのため買収が完了しても経営がうまくいかないケースも多くありますが、友好的買収は会社関係者への心証悪化を防ぐことができます。

 

4. 買収方法の特徴を把握してM&Aを視野に入れてみては

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