M&Aでかかる税金は?スキームごとに解説

M&Aを行なうと、譲渡金を受け取った者に対して税金がかかることがほとんどです。しかし、スキームによって課税される税金の種類が異なります。高額な取引となることがほとんどなため、かかる税金も高額になり、手元に残る金額も変わってきます。M&Aを検討している方や、なるべく費用を抑えてM&Aを行ないたいと考えている場合、支払う可能性のある税金について把握しておきましょう。

1.スキーム別の課税

スキーム別で課税対象や税金の種類も変わってきます。

 

スキーム 譲渡対象 課税対象者 対価 税金の種類と税率
株式譲渡 株式 個人株主、法人 現金 【個人株主の場合】所得税など
20.315%
【法人の場合】法人税
約30%
事業譲渡 事業の資産 法人 現金 法人税など
約30%
消費税
10%
組織再編
組織再編 株式交換 株式 個人株主 買い手株主 所得税など
20.315%
合併 株式 個人株主、法人 買い手株主 【個人株主の場合】
所得税(累進課税・住民税)など
最大55.945%
【法人の場合】
法人税など
約30%
会社分割 株式 個人株主、法人 現金

株式交換、合併、会社分割などの組織再編では、税制適格要件を満たす場合、課税は生じません。しかし、非適格になった場合は譲渡対象資産が時価で売買されるものとなり、売り手法人への含み益に対する課税が生じます。

 

因みに、私たちになじみ深い消費税が課税される取引は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡の取引の際に課税されます。贈与、寄付、出資は対価を得て資産を譲り渡す取引ではないため、消費税課税の対象外となります。

M&Aのスキームでは、株式譲渡では消費税は課税されませんが、事業譲渡は譲渡する資産によって消費税がかかるなど、手法によっては課税対象がさまざまです。

2. 株式譲渡

株式譲渡は、M&Aの売り手企業の株主の株式を買い手に売却して売却金を得ます。そのため、株式譲渡の場合の課税対象者は売却金を受け取った売り手企業の株主となります。また、受け取った株主が個人であれば売却金を受け取った利益は譲渡所得という所得になり、所得税が課税されます。

譲渡所得にかかる所得税は、給与所得や不動産所得などとは分けて計算される分離課税方式をとっています。税率は所得税15%に2037年まで復興特別所得税が上乗せされる15.315%と住民税5%を合わせた20.315%と均一なため、所得の高い人でも比較的納税額を抑えられます。

株主が法人の場合、株式を譲り渡すことで利益が出れば、会社の利益と計算されます。そのため、法人税が発生し、また法人住民税や法人事業税も課税されます。それらを加えた税率が約30%となります。税率は誰に対しても一定ではなく、法人の課税所得金額によって数値が異なります。

会社利益の場合は、個人株主とは違い、総合課税方式で法人の他の所得と同じように課税される点があります。

3. 事業譲渡

事業譲渡では、M&Aの売り手企業の事業にかかわる資産を買い手企業に売却し、売却金は売り手企業が受け取ります。そのため、課税されるという考えは株式譲渡と同じで、売却金を受け取った売り手企業が法人税などの課税対象となります。

事業を行なっていたのは法人のため、その事業を売却することで得る利益も法人にあります。そのため、事業譲渡で課税されるのは法人税となり、個人で課税されることはありません。譲渡利益は純資産に営業権(のれん)を合わせた譲渡価格から、譲り渡す資産の価格と負債の価格の差額を控除するため、おおよそ営業権の価格が譲渡利益であると考えられます。

また、事業譲渡では消費税が課税されますが、土地や売掛金など消費税として課税されないものは除外するため、営業権などの課税される資産のみが課税対象となります。

4.組織再編

組織再編とは、株式交換、合併、会社分割という手法があります。それぞれの手法にもよりますが、多くの場合は、売り手企業は買い手企業の株式を受け取ります。

組織再編の手法を使用する場合、税制適格要件に該当するかどうかによっても異なります。税制適格要件とはならず、非適格組織再編となる場合は、株主や譲渡対象企業には税金が課税される場合があります。そのため、税金を考慮した上で、売却価格を決めることが重要となります。

5.スキーム別にかかる税金を把握してM&Aを視野に入れてみては

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