ホテル・旅館・民泊など宿泊施設のM&A買収・売却価格の相場は?
ホテルや旅館などの宿泊施設のM&Aを検討している方は、どれくらいの価格で買収・売却が可能かご存知でしょうか?
この記事では、宿泊施設の買収・売却価格の相場についてご紹介します。
M&Aについて気になっている方はぜひ参考にしてください。
1.買収・売却価格を決める方法
企業価値の選定方法
買収・売却価格は現時点での企業価値だけではなく、そこから3年程度の営業利益を合わせた額が大まかな目安となります。
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
によって企業価値が算定されています。
マーケットアプローチ
株式市場などにおける企業の価値を基準にして相対的に企業価値を算出します。
インカムアプローチ
将来的に得ることが予想される利益や配当を評価して企業価値を算出します。
コストアプローチ
企業が保有している資産と負債の差を出して企業価値を算出します。
このように、現在だけでなく、将来的にも企業価値を算出しています。
現在の利益が見込めなくても、将来的に価値があると判断されれば買収・売却価格は上がり、反対に現在利益があっても、将来価値が見込めないと判断されれば売却価格は下がるということになります。
2.会社買収に必要となる費用
会社を買収するための費用
会社を買収すると被買収会社に譲渡金を渡すようになります。
しかしこの金額は、業種や企業の規模によって異なります。
買収の対象となる具体的な企業が決まるまでは、目安となる金額がわからないことがほとんどです。
そのため、M&A仲介会社など専門家に相談することが望ましいでしょう。
デューデリジェンスにかかる費用
M&Aを行なうためには、事前に企業監査であるデューデリジェンスを行ないます。
法務や財務、経営の面など様々な専門的な視点での分析が必要となりますし、今後の経営に関わる大変重要なプロセスとなります。
また、買収にかかる費用として、交渉や移転にかかる人件費も必要となります。
デューデリジェンスを行なうためにかかる費用は、一般的に小規模企業や個人事業主を対象としたスモールM&Aでは50~300万円が相場と言われています。
しかし、対象となる企業の規模や業者により企業監査の内容も変わるため、相場から変動する可能性も念頭に置くと良いでしょう。
仲介会社の手数料や報酬
会社を買収する際、専門家であるM&A仲介会社に依頼することが基本です。
その際、相談料や着手金である手数料や報酬も買収する会社が負担しなくてはなりません。
手数料や報酬の金額は仲介会社によっても異なります。
完全成功報酬型でM&Aが成約となった際に支払う方法や、中間報酬型で基本合意締結後に案件がある程度進捗した段階で支払う方法などがあります。
着手金や相談料が無料などそれぞれの特徴があるので、買収費用を節約するためにも自身に合ったM&A仲介会社を選択しましょう。
3.宿泊施設の特徴
宿泊施設の買収や売却を考えている方は、宿泊施設の特徴や今後求められている課題を把握しておくといいでしょう。
人件費や設備投資によるコストが大きい
24時間営業しているため、一定数以上の従業員の配置が必須となります。
また、宿泊施設自体の設備は時間が経てば修繕や改修が必要になります。
そのため、固定費で高額なコストが必要です。
売上は客室数で決まってしまう特徴があるので、いかにして固定費を下げて集客数を上げるかに企業の存続がかかっていると言えます。
webマーケティングが重要となっている
宿泊施設はwebでの予約や集客力が大きく求められています。
旅行会社による予約システムの委託や、SNSを通した集客が旅行者の割合が増加しているためです。
しかし、昔ながらの宿泊施設では追いつき切れていない企業も多く存在しています。
そんな中、OTAサービスの利用や、独自の集客システムを有していることが今後の宿泊施設に求められている技術と言えるでしょう。
経営の柔軟性が固定化している
宿泊施設は施設を利用した経営スタイルとなっています。
宿泊だけでなく食事やウェディングなどの差別化を図っている施設もありますが、施設に赴く来客がないと収益になりません。
そのため、経営スタイルが型にはめられているとも言えるでしょう。
また、一定以上のレベルのサービスを提供するためには、常勤の従業員にトレーニングを積んでもらうことに限定されてしまう傾向があります。
4.宿泊施設の買収・売却価格の相場
温泉や宴会場、客室数などの設備が充実していれば、買収の費用が上がります。
ホテルや旅館の買収には小~中堅ならば数千万~数億円、大規模ならば数十億円の相場となります。
例として、2018年に大江戸温泉物語は13億3000万円でTSCホリスティックが所有する「タラサ志摩ホテル&リゾート」を買収しました。
民泊の賃借権譲渡であれば数十万~と、格安の買収費用で済む事例もあるので、個人でM&Aを検討している方やこれから始めようと思っている方にも手が出しやすいと言えるでしょう。
5.買収・売却価格の相場を参考にしてM&Aを視野に入れてみては
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