M&Aで重要な法律とは?プロセスに関わる法務について解説
M&Aを実施する際には、M&Aに関する法律についても把握しておくことが重要です。
法令に準じた取引をしないとM&Aが無効になる場合や、損害賠償を負うリスクにもつながるからです。
この記事では、M&Aに関わる法律やプロセスに関わる法務についてご紹介します。
これから関わりのある法令についてチェックしておきましょう。
1. M&Aと法律の関係性
M&Aは様々な法律と結びついています。
もしも遵守しなかった方法で行うと、最悪の場合損害賠償を被る可能性も考えられます。
リスク回避のためにも、M&Aを実施するのであれば法令遵守を前提とした方法で行わなければなりません。
M&Aと関連している法令は無数にありますが、今回は特に関連しているものをご紹介します。
2. M&Aに関する主な法律
会社法
会社法とは、会社の設立から解散の手続き、組織運営や組織再編など、会社を運営するあらゆる場面を法律にまとめたものです。
これは、会社経営に関する最も基本的なルールを示しています。
M&Aでよく実施されている、株式取得や事業譲渡、組織再編などの手法ごとによっても規定が定められています。
独占禁止法
独占禁止法は、自由で公平な競争を促すために、事業者が自らの判断による自由な活動を目的に規定されています。
独占禁止法は、会社による企業結合が特定の分野における競争を制限する、また市場にとって不当な取引が行われる場合に企業結合が禁止されるという規制があります。
また、独占禁止法は届け出に関する規制も定めています。
ある条件に当てはまる企業結合を行なう場合は、事前に公正取引委員会に届け出なければならないという規制があります。
金融商品取引法
金融商品取引法とは、有価証券の発行や金融商品の取引に関して公正に、流通を円滑にするとともに、小尾区民経済の健全な発展や投資者の保護を目的とした法令です。
・公開買付
ある会社の株式を買い付ける際に、「買い付け期間・買い取り株数・価格」を公告して株式を買い集める方法です。
あらかじめ公開しておくことで、投資家に対して公正な売却の機会を保証し、投資家の保護と証券市場の円滑化を図ることができます。
・開示規制
公平な情報を開示するために、有価証券の発行者に届出を提出することを義務付ける規制となります。
これは、有価証券の募集または売り出しを行なう場合に適用され、投資者に適切な情報が公平に提供することを保証するものとなります。
・インサイダー取引規制
インサイダー取引とは、会社内部の情報を知っている人が、株式の重要な影響を与える情報の公表前に株式の売買を行うことを指し、違法と規制されている行為です。
インサイダー取引を規制することで投資者の立場が不利にならないように未然に防ぎ、金融商品市場の健全性を保護しています。
税法
M&Aにおける税法とは、主に法人税法のことを指します。
会社が関連する税金は様々ですが、会社は所得に対して支払う税金は法人税・住民税・事業税の3つあり、法人税は国税に当たります。
M&Aを行うにあたり、買収価格に法人税が適用されるケースもあります。
手法によって支払わなくてはならない税金が異なります。
なるべく節約してM&Aを実施したい、あるいは節税対策をしたいという方は税法について把握しておきましょう。
労働契約承継法
労働契約承継法とは、会社の分割制度の導入に伴い、分割をした会社の権利義務が分割によって承継することを定めています。
会社分割によって、労働契約がそのまま承継されると、労働者に大きな影響を与えることが想定されます。
その観点から労働者保護を目的とし、労働契約の承継についての特例を定めるために制定された法令です。
その他、多様化する雇用形態から、労働契約を規制するための法律として制定された労働契約法や、労働基準法、雇用対応法など、M&Aによって大きな影響を受ける従業員を保護するための法令についても把握する必要があります。
3. M&Aのプロセスにおける法務
①契約書の作成
M&A仲介会社との契約
M&Aを進める前に、まずはM&A仲介会社とのアドバイザリー契約を交わします。
契約内容によっては各社で手数料や成功報酬が異なるため事前に確認しておきましょう。
弁護士や公認会計士などの専門家のサポートを受けて、法令を遵守したM&Aを行ないましょう。
秘密保持契約書
M&Aを検討しているということは、買い手・売り手共にその情報が外部に漏洩してしまうと良くないイメージを持たれてしまい、経営にも影響が出る可能性があるというデメリットがあります。
また、M&Aを具体的に始める前に、対象会社の業務内容や財務状況を知って企業価値を判断するため、会社を保護するために秘密保持契約を締結します。
基本合意書
基本合意書は法的な拘束はありませんが、買い手・売り手に具体的なデューデリジェンスや交渉を行うといった合意を得るために締結されます。
基本合意を経た後に、法的拘束力を持つ最終契約を締結します。
最終契約書
最終契約は、株式譲渡や事業譲渡の場合は、買収当事者の事項を取り決める会社法上の定めは無いために、契約の内容は当事者間で交渉して締結されます。
組織再編行為が用いられる手法の場合、会社法に定められた規定の法定契約を締結し、それとは別に最終契約が締結されるケースもあります。
最終契約において重要となる前提条件、売主の義務、表明保証、補償事項についてご説明します。
- 前提条件
前提条件は契約書に定められた条件を満たさないと、M&Aのクロージングが行なわれないという内容を示しています。
契約内容を確実に実施するために事前の条件をつけています。
- 売主の義務
クロージングの前・当日・後それぞれに売主が関わる義務があります。
これは契約上必要な義務となり、売主が条件に違反すると買主から問題を指摘されます。
- 表明保証
表明保証とは、M&Aの当事者にとって示した事項が真実かつ正確であると表明し、補償したもののことです。
- 補償条項
補償条項とは、これらの義務や保証などに違反があった場合に対処する補償、つまり損害賠償について決められているものです。
②労働契約
最終契約後、M&Aが実施された後は、統合プロセスであるPMIを行ないます。
ここで重要となる従業員の労働契約について手法ごとによっても異なります。
- 株式譲渡の場合
株主が変わるだけで労働条件はそのままとなります。
- 事業譲渡の場合
事業は買い手企業に引き継がれますが、労働契約は引き継がれません。
そのため、買い手企業が個別に労働者と新しい労働契約を結びます。
- 合併
合併によって消滅する会社の権利義務は存続会社が承継します。
そのため、労働契約もそのまま引き継がれます。
しかしながら吸収合併の場合は、合併後に労働条件の変更が行われることが一般的です。
4. M&Aにおける弁護士の重要性
M&Aにおける弁護士の役割として様々ありますが、弁護士だけが行なえる実務として2つご紹介します。
契約書作成
M&Aを行うにあたり、前述したような契約書を交わす場面が複数あります。
この契約書は、法律に準じた内容の記載が求められています。
契約書に不備があれば、進めてきたM&Aの進行を防ぐものとなる可能性もあります。
そのような事態を防ぐためにも、弁護士が持つ法律の知識を活かすことができます。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスとは、通常のデューデリジェンスの中の更に法律の観点から、M&Aの対象会社を調査することを言います。
また、M&Aの内容などに違法性が無いかを確認し、法的なトラブルが無いかを確認するために重要となります。
その他交渉時に起こる意見の食い違いなどによるトラブルの防止にもなるため、交渉のプロフェッショナルを味方につけられるというメリットがあります。
実施するM&Aが法的に抵触しないかという観点で、専門家として弁護士にサポートしてもらうことも検討しましょう。
5. 弁護士のサポートがあるM&Aを視野に入れてみては
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